札幌支店 売上要因分析
【要約版】
― 2026年4~6月の売上好調は、今後も続くのか。2027年3月までのシナリオ予測 ―
作成日:2026年7月9日
本書は全20章の要点をまとめたものです。詳しい根拠は本編をご覧ください。
結論
第1章 はじめに ― なぜこの分析を行ったのか▲ 先頭へ
この春、札幌支店の4~6月の売上は、これまでにないほど伸びました。確かめたいことは2つです。①何が良くて売上が伸びたのか、②好調な数字に隠れて見落としている悪い要素はないか。
分けて調べないかぎり、伸びた理由も落ちた理由も担当者個人の好不調として片づけられ、会社として何に力を入れるべきかを決められません。そこで契約データを経路別・地域別・月別に分けて確かめました。
- 使ったデータ ― 要因分析1,186件(2024年1月~2026年6月)、季節分析2,420件
第2章 分析する意義 ― なぜ感覚ではなくデータで確かめるのか▲ 先頭へ
分析をしないと、データは漠然とした数字の塊にしか見えません。感覚だけで判断すると、事実と逆に理解してしまうことがあります。第5章の5つが、その実例です。
- 分析でできること ― ①勘違いを防ぐ ②次の一手がわかる ③全員の共通言語になる
- 分析がないと ― 伸びた理由が分からず再現できない。落ちても原因を切り分けられない。判断のよりどころがない
- ただし数字だけでは足りない ― 訪問販売の急減は、担当をWeb部隊へ異動させたという現場の情報で意図的だと確定しました
- 分析は「正解を出す道具」ではない ― 比べ方を変えれば結論も変わります。実際、経路別のOB化率は期間を揃えたら順位が変わりました(第10章)
第3章 予測する意義 ― なぜ先の数字を出すのか▲ 先頭へ
- 3つの使い方 ― ①早く気づく ②月の途中で判断する ③全員が同じ言葉で話す
- 目標と予測は別のもの ― 目標=こうする(意思)、予測=こうなりそう(見通し)。目標はそのまま使ってください
- 外れても意味がある ― 前提が変わった合図として使えます
第4章 先に結論▲ 先頭へ
- 売上は約1.7倍 ― 2億364万円(前年同期1億2,199万円)
- 一番の理由はOB客 ― 前年より+4,696万円
- 2番目は自社HP ― +2,343万円
- 2026年度の見通しは約6.4億円 ― 悲観でも前年度(約4.4億円)を上回る
- 条件がある ― 施工事例の更新を止めない、OB客フォローを仕組みにする
- 弱点 ― 売上の約3分の1はマッチングサイト経由。案件数は自社で増やせない
第5章 分析しなければ気づけなかった5つの発見 ― 感覚と事実のズレ▲ 先頭へ
- ① リショップナビの売上増は紹介が増えたからではない ― 案件数は横ばい。成約率10→15%、単価161→247万円
- ② 冬の案件は数が3割少ないが成約率は2倍 ― 冬21%、春夏11%
- ③ 失注の半分はお客様に会う前に終わっている ― 46%。成約は5件に1件
- ④ 月の成績は20日までにほぼ決まっている ― 月初30%+月中30%=60%。月末の売上はどの月もほぼ同じ
- ⑤ 新規のお客様が2026年に入って一気に若くなった ― 年齢の中央値64歳→57歳、60歳未満34%→57%(上期どうしの比較)。主役は自社HPで、70代中心の訪問販売と入れ替わりました
売上はどれだけ伸び、どこから生まれたのか
第6章 売上・契約件数・平均単価はどう変わったのか▲ 先頭へ
| 項目 | 2024年4-6月 | 2025年4-6月 | 2026年4-6月 |
|---|---|---|---|
| 売上合計 | 1億770万円 | 1億2,199万円 | 2億364万円 |
| 契約件数 | 112件 | 135件 | 187件 |
| 平均単価 | 96.2万円 | 90.4万円 | 108.9万円 |
| 前年同期比 | ― | +13.3% | +66.9% |
第7章 売上はどの集客経路から来ているのか▲ 先頭へ
- OB客(リピート) 39% ― 一番大きい
- 自社HP 15% / ホームプロ 15% / スーモカウンター 10% / リショップナビ 7%
売上の柱は「新しいお客様との出会い」と「そのお客様が戻ってくること」の2つでできています。
なぜ伸びたのか
第8章 3つの疑いを検証 ― 「たまたま」ではないのか▲ 先頭へ
- 疑い① 大きい工事が1件あっただけでは? → 1,460万円の1件を除いても前年比+55%
- 疑い② 景気が良かっただけでは? → 景気なら全経路が伸びるはず。実際は経路ごとに差
- 疑い③ 前年が落ち込んでいた反動では? → 前年も+13.3%と好調。2年前と比べても+90.1%
第9章 売上を増やした「2つのエンジンと1つの追い風」▲ 先頭へ

- エンジン1 OB客(+4,696万円) ― 過去のお客様が戻ってきた。会社の「貯金」が利息を生み始めた
- エンジン2 自社HP(+2,343万円) ― 施工事例105件。契約が増え始めたのは2025年10月から(約9か月の助走)
- 追い風(+約3,600万円) ― スーモカウンターと高額案件。毎年は続かない
- 減少は会社の意思決定 ― 訪問販売の担当をWeb部隊へ異動(▲約3,500万円)
第10章 二段ロケットの構造 ― 出会いの入口とOB化の掛け算▲ 先頭へ

- 1段目 ― 自社HPや紹介サイトで新しいお客様と出会う
- 2段目 ― その新しいお客様が1~3年以内にOB客としてリピートする
第10章-1 自社HPは本当に「もうかる経路」か ― 粗利率の検証▲ 先頭へ
マッチングサイト経由の工事では、サイトに手数料を払います。自社HP経由なら手数料はかかりません。その分、手元に残る利益は多いはずです。本当にそうなっているかを確かめました。
- 手数料がかからない経路 ― 近隣挨拶32.8% / OB客32.6% / 自社HP31.2%
- 手数料がかかる経路 ― リショップナビ27.4% / ホームプロ23.6% / スーモカウンター23.0%
※ 数字は粗利率です。工事の売上から材料費や工事費を引いて、手元に残る割合を指します。
これまで自社HPで受けた工事は合計8,476万円ありました。もしこれをすべてホームプロ経由で受けていたとしたら、手元に残る利益は約507万円少なかった計算になります。
第11章 どこで売れたのか ― 戸建と地域の広がり▲ 先頭へ
- 戸建が+94% ― 9,145万円 → 1億7,765万円。マンションは▲25%
- 周辺市部が約4.4倍 ― 江別・石狩・小樽の3市合計で1,016万円 → 4,487万円
- 遠くても粗利率は落ちない ― 近隣28~32%、遠方31~32%
- 理由 ― Webは距離を選ばず単価の高い工事を連れてくる。工事現場が次の仕事を生む
売上のしくみ
第12章 お客様とはどのように出会っているのか(マーケティング)▲ 先頭へ

- 当社の集客は3つ ― マッチングサイト(外部が集客) / 自社HP(自社が集客) / 訪問販売(営業個人)
- マッチングサイトは値下げ競争になりやすい ― 経費の少ない小さな会社ほど安く出せるため、当社は不利
- だから値段以外で選ばれる必要がある ― 提案の中身、対応の速さ、任せてもらえる安心感
- 自社HPのお客様は、すでに当社を選んでいる ― 粗利率30.8%(マッチングサイトは24~26%)。値引き競争になっていません
- 小さく・近い依頼が中心 ― 単価の中央値38万円(サイトは118~130万円)、札幌市内86%(サイトは69~76%)
- だから返信の速さが成約に直結する ― 決めて連絡してきた方なので、相見積もり前提の話し方は合いません
第13章 売上の方程式 ― 好調の「弱点」も直視する▲ 先頭へ

- マッチングサイト経由は売上全体の33% ― 直近12か月で1億7,120万円
- 案件数は自社で増やせない ― サイト側の広告や消費者の気分に左右されます
これは仮定の話ではありません。リショップナビの案件数は、2025年1~8月と2026年1~8月をくらべると実際に34件減っています。リスクへの備えは3つです。①自前チャネルを太くする(現在54%→6割へ) ②サイトを分散する ③案件数と成約率を全サイトで記録する
第14章 リショップナビで実測検証 ― 案件数は増えていない▲ 先頭へ

- 案件数はほぼ横ばい ― 月17~19件
- 伸びたのは成約率と単価 ― 約10%→15%、161万→247万円。当社側の改善効果が大きいと考えられます
- 現地調査の前に約半数(46%)が失注 ― 最終成約は20%(5件に1件)
- 冬の案件は数が3割減るが成約率は2倍 ― 冬21%、春夏11%
売上のリズム
第15章 冬と季節のリズム ― 札幌の宿命▲ 先頭へ
- 冬(12~2月)は1か月あたり約1,900万円 ― それ以外の月(約3,500万円)のほぼ半分
- 1月は5年連続で最低月 ― 落ちても慌てる必要はありません
- 一番売れるのは6~9月 ― ピークは9月
- 冬の谷は2年連続で浅くなっている ― 3,842万 → 7,695万 → 9,263万円
- 谷を埋めたのはOB客とリショップナビ ― 2年で+5,421万円のうち、OB客+2,477万円(46%)、リショップナビ+2,264万円(42%)
- OB客は件数がまるごと増えた ― 冬の契約が29件→65件。1件あたりは約68万円で変わらず
第16章 月の中の売上配分 ― 月初・月中・月末▲ 先頭へ
- 月初30% / 月中30% / 月末40% ― 24か月の合計。月末が最大ですが、6割は20日までに決まります
- 差がつくのは月末ではなく、20日まで
- 月末の売上はどの月もほぼ同じ ― 前半が少ない月1,646万円、多い月1,632万円。それでも合計は3,087万円と4,752万円で1.5倍の差
- 月の前半が静かなのは1月と5月 ― 正月休みとGWで、15日までに動ける日が平均5.5日(他の月は9.3日)しかないため
- 6月だけは3年とも月初が大きい ― 月初(1~10日)が38%・44%・53%。他の月は平均28%。GW明けの契約が集まっている可能性
※ この章の集計は、正月休みのある1月とゴールデンウィークのある5月を除いた24か月です。
第16章-1 曜日のリズム ― 土日で売上の4割▲ 先頭へ
- 1日あたりの売上は、週末が平日の約2倍 ― 週末186万円 / 平日96万円。土日で売上の43.5%(日数では29%)
- 山は金・土・日 ― 1日あたり土188万円・日184万円・金118万円。水曜は定休日でほぼ動きません
- 週末に寄るのは50~300万円の工事 ― この帯だけ週末が約半分。小さな修繕や大型案件は曜日に左右されません
- 3年間ほとんど変わらない ― 週末の件数比は39%・38%・39%
これからどうなるのか
第17章 月別売上予測 ― 3つのシナリオ予測▲ 先頭へ
| シナリオ | 確率 | 2026年度売上 | 前年度比 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 25% | 約6.7億円 | 約+50% |
| 標準 | 50% | 約6.4億円 | 約+44% |
| 悲観 | 25% | 約5.8億円 | 約+31% |
- 悲観でも前年度(約4.4億円)を上回る
- 標準には営業1名の復帰分 約1,500万円を織り込み済み
第18章 予測はどれくらい当たるのか ― 過去に立って検証▲ 先頭へ
- 年度合計はほぼ的中 ― 予測4億5,500万円に対し実績4億4,484万円(誤差▲2.2%)
- 単月は平均±25%ブレる ― 当たるのは「年間の水準」と「季節の形」です
第19章 ビック札幌の分析 ― 下請事業の構造と課題▲ 先頭へ
- ビック札幌は「下請」の事業 ― BIG札幌やコジマなど量販店の工事を請け負う形。売上の98%が量販店経由です
- リピート(OB客)が生まれない ― お客様は量販店のお客様のまま。二段ロケットは回りません
- 規模は全社の5.2% ― 件数では12%だが、売上・粗利では5%。1か月あたりの粗利58万円(札幌支店は1,106万円)
- お客様が戻ってこないので利益が積み上がらない ― お客様1人あたりの粗利13.7万円(札幌支店45.8万円)。次の工事も量販店を通すため、当社には戻りません
- 件数の68%が30万円未満、売上の半分は17件 ― 大型案件は年6~9件しかなく、2026年3月を最後に途切れています
- 冬の穴埋めにはなっていない ― 冬でも月182万円あり大きくは落ちませんが、金額が小さく穴は埋まりません
- 2026年上期は前年同期比-56% ― 主力のBIG札幌が3年続けて減少。工事の数を自社で増やせません
これから大切にしたいこと
第20章 まとめと、当社が大切にしたいこと▲ 先頭へ
- 根拠① OB客のリピートが件数もスピードも伸びている
- 根拠② 自社HPの施工事例が実を結び始めた
- 根拠③ 悲観シナリオでも前年度を上回る計算
- 注意点 4月の大きな工事(1,460万円)は毎回出ません。スーモカウンターは日が浅く、判断は2026年内の実績を見てから
- ビック札幌は別枠で考える ― 下請でリピートが生まれず利益が積み上がりません。冬の穴埋めにもならず、売上も縮小傾向です(第19章)
第20章-1 当社として大切にしたい5つの考え方▲ 先頭へ
